広告業界への就職活動は、他の業界とは大きく異なります。
特に電通や博報堂といった大手広告代理店では、応募人数も多いため、ありきたりの自己PRやテンプレート化された志望動機では「ほかの人と同じ」となり通用しません。
求められるのは「自分なりの視点を持ち、それを言語化できる力」、そして「他者を動かす伝える力」です。
本記事では、実際に広告代理店の面接官から高く評価された面接事例をもとに、内定獲得の秘訣を徹底解説していきます。

内定者に共通するポイントとは?
💡広告業界で内定を勝ち取るには、「自分の視点」と「伝える力」が不可欠
広告代理店の面接官が見ているのは、履歴書に書かれた文字情報ではありません。
「この人は、まだ誰も気づいていない視点を持っているか」「その視点を、相手にわかりやすく伝えられるか」。この2点に集約されます。

以下、面接での学生の例を5つご紹介します。
1.自己紹介で他の学生との違う経験をアピール
冒頭の自己紹介は、広告業界における第一関門です。
私が面接をした学生では、法学部に在籍しながらITベンチャーで営業部長を務めた学生が、20人のマネジメント経験を簡潔かつ論理的に伝え、面接官の印象を一気に掴みました。

ポイント整理:
✔ 学部と実務経験の掛け算
✔ キーワードを冒頭に入れる
✔ 実績+学びのセットで構成
2.方針転換を実現させた“行動力”をアピール
就活では公務員を志していたものの、働くやりがいに重きを置きたいという強い意向により方針転換。
大学3年生の夏にSNSで50人以上の社会人にアポを取り、業界研究、実態把握を行ったという経験をアピールした学生がおり、「能動性と考察力の高さ」として評価しました。

3.自身の見た目のコンプレックスをあえてアピールポイントに
目つきが鋭く「顔が怖い」と学生時代に指摘されてきたことを自覚し、毎朝鏡の前で笑顔の練習を行ってきたという努力を語った学生もいます。
「今日の私の見た目はどうですか?」と面接官に質問し、これをきっかけに会話のキャッチボールが生まれました。
広告業界だけでなく、社会人全般でも自己認識と改善行動は非常に高く評価されます。
面接で大事なのは、会話のキャッチボールです。
面接は相互理解の場ですので、よく見せることが重要ではないのです。このやり取りでも人となりがよくわかります。
Q. 弱みは話さない方がいい?
A. 話すべきです。克服に向けた行動があるなら、むしろ大きな加点要素です。
4.広告業界を目指す熱量をプレゼンという形でアピール
広告を「何かと何かをつなぐ仕事」と捉え、その本質に魅力を感じたと語った学生もいました。
広告業界では、「広告をどう見ているか」「その背景をどう捉えているか」で視点の鋭さを見られます。
この学生は、好きな広告として“電車内の中吊り広告”を挙げました。スマホが使えない満員電車という状況で、唯一「目線を独占できる媒体」としての機能性に着目した点が高く評価されました。
一方、嫌いな広告はYouTubeやTikTokなどの動画途中に挿入される“感動を台無しにするインタラクティブ広告”。
単なる「嫌い」という感情論ではなく、「メディア体験を阻害する構造的欠陥」にまで言及していた点が好印象でした。
例えばこんな整理をされていました。
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好きな広告:満員電車の中吊り広告。スマホが見られない環境で目を惹く設計に着目
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嫌いな広告:YouTube広告。感動的動画の途中で割り込む構造に対する問題提起
学生の観点ですから、この整理自体がいい悪いではなく、世の中の広告の実態を分類し、どこに問題・課題があるのかを学生の目線から提案をされました。その上で、当社の特徴である「最新技術と実験的な表現を許容する風土」に惹かれた点を語り、「想い×企業分析」で説得力ある志望動機を構成しました。
5.自らの出身をベースにした“想い×リアリティ”でプレゼン
地方の農業法人を担当したいと語った学生もいました。
自らが新潟の農家出身という家庭背景を元に、地方に眠る価値を可視化したいという想いを語られました。
高齢者が多いターゲットに対しては、老人ホーム職員との提携という“広告伝達の設計”にも言及し、実現可能性に基づいたアイデアを提示。
抽象的な理想論ではなく、「社会課題の特定」「アプローチ設計」「ターゲット設定」の三拍子がそろった提案となっていました。

面接終盤で差がつく「逆質問」「最後の一言」
もちろん、個性的なエピソードだけが全てではありません。面接官の印象は終盤で差がつきます。
どんな面接にもかならずやってくる「逆質問」はコミュニケーションのチャンス!
しっかりと準備をしたら面接官の印象に残りやすいです。
逆質問例:
✔ 御社の中で「らしさ」を感じる瞬間はいつですか?
✔ 社員同士の意見対立があった際、どのように進めていきますか?
✔ 新人時代に携わった“挑戦的な案件”を教えてください
最後の一言例文:
本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。広告の力で課題を可視化し、価値を届けるという仕事に、改めて深い魅力を感じました。貴社の一員として、まだ可視化されていない“価値”を発掘し、伝えていく力を磨き続けたいと思っております。

よくある質問(FAQ)
Q1:広告業界に学歴フィルターはありますか?
A:大手で一定の傾向はありますが、“面接で話せる力”があれば逆転は可能です。実際、学歴不問で大手に内定している学生の多くが、課題発見力や広告批評力で高評価を得ています。
Q2:自己PRで印象に残るにはどうすれば?
A:「課題→行動→改善→結果→学び」の構造で話すと、自然と印象に残ります。特に「改善」の視点が入っているかが大きな差になります。
Q3:志望動機が浅いときはどうする?
A:まず「広告に何を期待しているか」を言語化しましょう。そこから「どんな広告を作りたいか→なぜ御社か」と、逆算型で構築すると深みが出ます。
Q4:面接で緊張してしまうタイプです…
A:「完璧に答える」よりも、「自分の思考を言葉にしようとしている姿勢」が評価される業界です。1秒止まっても、“その1秒が深みになる”と捉えてください。
Q5:広告業界に向いている人って?
A:「正解がない状況でも進める人」です。常に仮説を立て、考え、修正し、伝える。そんなプロセスにワクワクできる人は、必ず活躍できます。
まとめ:広告業界の就活は“言葉”と“行動”で差がつく
面接後、複数の評価項目で「即戦力としての伸びしろ」が認められたこの学生。最終的な合格の決め手となったのは以下の通りです。
評価されたポイント
✔ 構成力の高さ:自己紹介からクロージングまで、ストーリーの一貫性がある
✔ 経験ベースの語り:抽象ではなく“現場での工夫”を語れていた
✔ 論理と情熱の両立:志望動機において、理念だけでなく企業特性との接続が語られていた
✔ 即興対応力:想定外の質問に対しても“考えながら話す力”が備わっていた
✔ 課題設定能力:好き・嫌いな広告の設問で、ユーザー体験と広告設計を分けて思考していた
広告業界の選考は、「事前準備+その場での思考力+自己表現」の複合勝負です。本記事で紹介した学生は、挫折経験をただのエピソードで終わらせず、「行動と改善」という実践力に昇華しました。
好きな広告・嫌いな広告、志望理由、逆質問。どれも“広告をつくる人間”としての思考力を問う問いです。自己分析だけでなく、「他者に何を届けたいか」というアウトプット視点を持つことで、あなたの面接は大きく変わります。
あなたの思考と言葉が、誰かの心を動かす日が来ることを信じています!